にのみや しょうこ二宮 祥子さん出身地:愛媛県西予市かりとりもさくの会 地域任用職員西予市明浜町出身。大学進学で松山に出た後、平日は明浜、休日は松山という2拠点生活を1年程したのち、実家の真珠養殖を手伝いに明浜へ戻る。現在は結婚し2児の母。地域づくり組織「かりとりもさくの会」の事務局として勤める他、地元の一次産業を盛り上げようと夫婦で通販サイト「浜のイザカヤ」を運営。かりとりもさくの会の活動の一つ「のびのびプラタナスの会」という子育てサークルの立ち上げと代表も務める。明浜町は国の重要文化的景観に選定されたみかんの段々畑が広がり、海も近く漁業も盛んで山と海の恵を感じられる地域。二宮 祥子さんはそんな明浜町にある真珠養殖業を行う家庭に生まれた。幼い頃は忙しい両親の代わりに親戚のおばちゃんにたらい回しにみてもらうなど、地域で育てられた感覚があるそう。地域と子供のつながりは自身の子育てを通しても感じている。地域に見守られ育つ子どもたち地域には、近所を散歩しているおっちゃんが「学校連れてくぞ〜っ」と声をかけてくれたり、子供たちを集めて体育館を開けてくれるお父さんがいたりするそうだ。祥子さんが明浜出身だからできる子育てなのかと質問するとそんなこともないようで「ここに来る移住者もいい意味で図々しい(笑)すごい打ち解けるのが早いんですよ。人懐っこいっていうか。」移住した家族の子供たちも地域のいろいろな方々と関わり合い育っている。明浜町の狩江(かりえ)地区では、地域住民が全員参加するお祭りや盆踊りがある。正月よりもこのお祭りの時期に戻ってくる地元出身の人もいるくらいだ。そんな昔ながらの行事を大切にするからこそ地域がまとまると感じているそう。お祭りや日々の関わりの中で、子供の顔を見れば誰の子供・孫なのか分かる。それが分からないと子供を預けにくいし預かりにくいが、この地域では顔が分かるから安心して関われる。そんな環境だからこそ地域で子供を育てることができるのだ。みんなで集まり子育てのことも地域のこともおしゃべりできる場所を祥子さんはお腹の中に第一子がいる頃、子育てサークルを立ち上げた。きっかけは祥子さんの出身校でもある狩江小学校が閉校になったこと。閉校後の校舎の活用方法について「子供がもう一度遊べるようなスペースをつくってほしい」と地域の声が集まった。当時子育ての悩みを共有できるような場や児童館がなく子供が遊べるスペースがなかった。そこで祥子さんに子育てサークルをしないかと声がかかり、妊娠中ではあるが自分もゆくゆくはお世話になるだろうと校舎を拠点として「のびのびプラタナスの会」を立ち上げた。「子育ての最初の頃は仕事から一線離れるとちょっと社会から外れたような感じがして寂しかった。でもそれよりも違う土地に来たお母さん達は子育て中社会から離脱するし、ママ友もいない状況でストレスを抱えて寂しい思いをすると思う。でももうその心配がこの地域にはない。引っ越してきたらすぐにサークルへの勧誘をするし(笑)誰かが誰かを誘ってくれる。みんなで集まって子育てのことや地域のことも喋る。するとお母さんが孤立しない。」新しい移住者の人を見つけると、地域の人たちが「今晩来い、今晩来い(夜ご飯食べに来な)」とウェルカムなんだとか。そしてそっとしてほしい方はそっとしておく。そんな関わり方を祥子さん自身も行なっている。また、狩江ではケラケラ・じゃらじゃらしている人が多いそう。「じゃらじゃら」とは方言で、冗談を言ってみたり、あまり深く考えず、人は人・自分は自分と考える気さくな人のことをいう。「じゃらじゃらいう人に囲まれるとお母さん達もだんだん明るくじゃらじゃらした人になるんかもしれん(笑)」明浜に移住する人は、田舎ならではの生活の不便さや人との距離感に覚悟を持って来る人が多いと感じているそう。「いざ移住してみると、案外移住者も地域に多く、陰湿的なこともないし意外と悪くないなって思ってもらえているんじゃないかな」と話す。子どもたちの習い事なども増えてきている。子育てサークル「のびのびプラタナスの会」にて絵本の読み聞かせ その他にも祥子さんは西予市全体の子育てサークルも令和3年から始めている。西予市の様々な地域の人たちが交われることを考えながら移住者のお母さんと共に活動している。「移住者にとって地域の隔てが一番理解しにくいところだったりするので、隔てをなくすのが移住者のためなんですよね。」祥子さんの持ち前の明るさとネットワークで、開けた子育てや暮らしが実現していっているように感じた。「どんだけSNSで宣伝しても、来てもらって、人に触れてもらうのがここは一番。それ以上のことはないと思う。どんなとこなんやろかなって思うんやったら、とりあえず来てって言いたい。来たら納得するけん。」かりとりもさくの会 https://karitorimosaku.jp/